データ出典:国土交通省 不動産情報ライブラリ(2020年第1四半期〜2025年第3四半期)。本記事のすべての数値は、公的機関が公開する実取引データに基づいています。
30万件の取引データが示す、東京23区の「今」
国土交通省が公開する不動産取引価格情報を分析した。対象は2020年Q1〜2025年Q3の約5年半、取引件数は309,795件。東京都全域の不動産取引(マンション・戸建て・土地)を網羅したデータだ。
主要な数値を整理すると、以下の通り。
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 取引件数 | 309,795件 |
| 平均取引価格 | 6,944万円 |
| 中央値 | 4,400万円 |
| 最高取引価格 | 1,700億円 |
| 最低取引価格 | 1,000円 |
注目すべきは平均と中央値の乖離だ。平均6,944万円に対し、中央値は4,400万円。港区や千代田区の億超え物件が平均を大きく押し上げているが、実際に最も多く取引されている価格帯は4,000万円前後ということになる。
価格推移:5年間で上昇トレンドが継続

グラフから読み取れるポイントは3つ。
- 平均価格は2020年の約6,500万円→2025年の約7,500万円へ、5年間で約15%上昇
- 中央値も約3,600万円→4,800万円へ着実に上昇。一部の高額物件だけでなく、市場全体が底上げされている
- 2021年〜2022年に一時的な変動があるものの、長期トレンドは明確な右肩上がり
AI予測モデルによると、2026〜2027年も上昇トレンドの継続が見込まれている(オレンジ点線)。ただし、予測範囲(薄いオレンジ帯)が広がっていることから、金利動向や経済環境次第で振れ幅は大きい。
区別ランキング:平均取引価格トップ10

区別の平均取引価格をランキングにした。
| 順位 | 区 | 平均取引価格 | 取引件数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 千代田区 | 1億5,570万円 | 3,113件 |
| 2 | 港区 | 1億5,423万円 | 11,154件 |
| 3 | 渋谷区 | 1億4,952万円 | 7,415件 |
| 4 | 中央区 | 1億408万円 | 9,795件 |
| 5 | 目黒区 | 1億30万円 | 6,691件 |
| 6 | 新宿区 | 9,780万円 | 11,257件 |
| 7 | 世田谷区 | 8,713万円 | 19,024件 |
| 8 | 文京区 | 8,320万円 | 7,400件 |
| 9 | 台東区 | 8,125万円 | 6,926件 |
| 10 | 品川区 | 7,890万円 | 11,672件 |
千代田区・港区・渋谷区のトップ3がすべて平均1億5,000万円前後で拮抗している。取引件数で見ると港区が11,154件と多く、高額物件の「流動性」も高い。
一方、世田谷区は平均8,713万円ながら取引件数が19,024件でダントツ。ファミリー層の実需が安定していることを示している。
㎡単価で見る「本当に高い区」

面積の違いを排除して㎡単価で比較すると、区ごとの「地力」がはっきりする。
| 順位 | 区 | 平均㎡単価 |
|---|---|---|
| 1 | 港区 | 346万円/㎡ |
| 2 | 千代田区 | 344万円/㎡ |
| 3 | 中央区 | 304万円/㎡ |
| 4 | 渋谷区 | 187万円/㎡ |
| 5 | 台東区 | 143万円/㎡ |
㎡単価では港区(346万円)が千代田区(344万円)を僅差で抜いてトップ。平均取引価格では千代田区が上だが、㎡単価では港区が上回る。これは港区の方が1戸あたりの面積が大きい物件が多いためだ。
都心3区(港区・千代田区・中央区)と4位の渋谷区との間に大きな断層がある。中央区304万円に対し、渋谷区は187万円。約1.6倍の開きだ。この「都心3区プレミアム」は海外投資家の買いが集中していることが一因と考えられる。
築年数と価格の関係——「買い時」はいつか

築年数ごとの平均価格を見ると、明確なパターンがある。
| 築年数 | 平均価格 | 築5年比 |
|---|---|---|
| 〜5年 | 8,881万円 | — |
| 〜10年 | 7,578万円 | -15% |
| 〜15年 | 6,609万円 | -26% |
| 〜20年 | 6,213万円 | -30% |
| 〜25年 | 6,166万円 | -31% |
| 〜30年 | 5,863万円 | -34% |
| 〜40年 | 6,652万円 | -25% |
| 40年〜 | 5,616万円 | -37% |
注目すべきポイントが2つある。
1つ目は、築15年を超えると価格下落のペースが緩やかになること。築5年→築15年で26%下落するが、築15年→築25年ではわずか5%しか下がらない。つまり築15〜20年が「価格の底打ち」に近い。中古マンション投資を考えるなら、この築年数帯が最もコスパが良い。
2つ目は、築30〜40年の物件が築25〜30年より高いこと(6,652万円 vs 5,863万円)。これは大規模修繕が完了してリノベーション済みの物件が含まれるため。築古でも立地が良ければ、リノベで資産価値を回復できることを示している。
投資スコア:東京23区全体の評価

6軸評価で東京23区全体の投資適性を分析した結果、総合スコアはBグレード(63/100点)。
| 評価軸 | スコア | コメント |
|---|---|---|
| 収益性 | 11/20 | 利回りは全国平均よりやや低め |
| 価格トレンド | 12/15 | 上昇トレンドが継続中 |
| 交通利便性 | 7/15 | エリアにより差が大きい |
| 災害安全性 | 10/15 | 一部の低地エリアで浸水リスク |
| 人口動態 | 11/20 | 23区は人口増加傾向 |
| 流動性 | 12/15 | 取引件数が多く売買しやすい |
強みは「価格トレンド」と「流動性」。5年間の上昇トレンドが継続しており、年間6万件超の取引が発生しているため「買いたい時に買え、売りたい時に売れる」環境が整っている。
一方、課題は「収益性」。物件価格の上昇に対して賃料の上昇が追いついておらず、利回りは全国平均を下回る水準だ。キャピタルゲイン(値上がり益)を狙う投資には向いているが、インカムゲイン(家賃収入)重視の投資家には、地方都市の方が適している場合がある。
まとめ:データが示す東京23区マンション市場の実像
30万件の取引データから見えてきたのは、以下の3つのファクトだ。
- 価格上昇は「一部の高額物件だけ」ではない — 中央値も5年間で着実に上昇しており、市場全体が底上げされている
- 都心3区(港区・千代田区・中央区)は別世界 — ㎡単価300万円超の「プレミアムエリア」として、他の区とは異なる市場を形成している
- 築15〜20年が投資の「スイートスポット」 — 価格下落が一巡し、立地の良い物件はリノベで資産価値を維持できる
本記事のデータは、国土交通省の実取引データをAIで分析する不動産価格分析ダッシュボードから取得しました。任意の都道府県・市区町村で同様の分析を行えます。登録不要のデモで、まずはどんなデータが見られるか体験してみてください。