サラリーマンの不動産投資、「節税になる」は本当なのか

「不動産投資で税金が戻ってきますよ」

不動産投資の営業電話やセミナーで、よく聞くフレーズです。

「年収700万円以上のサラリーマンなら、不動産投資で年間30〜50万円の節税ができます」。

こう言われると、つい興味を持ってしまいますよね。

結論から言うと、仕組みとしては本当です。

ただし、「誰でも・いつまでも」節税できるわけではないし、見落とすと痛い落とし穴もあります。

仕組みを正しく理解した上で、冷静に判断してほしいと思います。

なぜ節税になるのか:減価償却のしくみ

建物は年数が経つと劣化するので、税法上は「価値が減っていく」と考えます。

この「価値の減少分」を毎年経費として計上できるのが減価償却です。

ここがポイントなのですが、減価償却は実際にお金が出ていく経費ではありません

帳簿上の経費なので、手元のキャッシュは減らないのに、税金の計算上は「赤字」を作れる。

この不動産所得の赤字を、サラリーマンの給与所得と損益通算すると、課税所得が減って税金が戻ってくる。

これが「不動産投資で節税」の基本的な仕組みです。

どのくらい節税できるのか

具体的な数字で見てみましょう。

例えば、年収800万円のサラリーマンが、2,000万円の中古マンション(建物部分1,000万円、RC造)を購入した場合。

RC造の法定耐用年数は47年

20年の中古なら、残存耐用年数は約31年です。

年間の減価償却費は約32万円

他の経費(管理費・固定資産税・ローン金利など)と合わせて不動産所得が赤字になれば、その分だけ所得税と住民税が減ります。

年収800万円だと所得税率23%+住民税10%33%なので、仮に50万円の赤字なら約16.5万円の節税効果。

年収が高いほど税率が高くなるので、節税効果も大きくなる仕組みです。

節税効果が高い人の条件

不動産投資による節税効果が実感できるのは、以下の条件に当てはまる人です。

  • 課税所得900万円以上(所得税率33%以上)
  • 築古の木造物件を購入(耐用年数が短い=減価償却が大きい)
  • 建物比率が高い物件を選んでいる

逆に、年収500万円以下の方は所得税率が低いので、節税メリットは限定的です。

その場合は節税目的ではなく、純粋に家賃収入で利益を出すことを目指したほうがいいでしょう。

見落としがちな落とし穴

落とし穴1:減価償却には期限がある

減価償却費を計上できるのは、耐用年数の残存期間だけです。

期間が終われば経費として計上できなくなるので、不動産所得が黒字に転じて逆に税金が増えることがあります。

落とし穴2:売却時の税金

減価償却で帳簿上の取得価格が下がっている分、売却時の譲渡所得が大きくなります

つまり、保有期間中に節税できた金額を、売却時にまとめて取り返される可能性がある。

これを知らずに「節税できた」と喜んでいると、売却で痛い目を見ることがあります。

落とし穴3:赤字が続くと融資に影響

不動産所得の赤字が大きいと、金融機関から「この人の投資は儲かっていない」と判断されることがあります。

2件目以降の融資が通りにくくなるリスクも考慮しておく必要があります。

節税の前に「収支」で判断を

節税はあくまでボーナスであって、投資の本質は家賃収入で利益を出すことです。

「節税になるから」という理由だけで物件を買って、蓋を開けたらキャッシュフローが赤字、というのは本末転倒です。

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